タカのメモ

主に技術的なメモ

Linux Mint 19.3 LTS をUSBメモリにインストールする

今回はUSBメモリLinux Mint 19.3 LTSをインストールする方法を紹介します。

1.概要

1.1.Linux Mint 19.3 LTS

Linux Mint 19.3 LTS (コードネーム:Tricia)」は2019年12月18日にリリースされました。

Ubuntu 18.04 LTS」をベースとして開発されており、2023年4月までの長期サポート版です。
採用しているデスクトップ環境によってCinnamon/MATE/Xfceの3つのエディションを持ち、Cinnamon/MATE/Xfce の順で高機能であり、Xfce/MATE/Cinnamonの順で軽量・高速です。

今回は、MATEの64bit版をインストールします。

1.2.USBメモリLinuxをインストールする

Windows環境を使える状態でLinux環境を使ってみたい」という要望は多いと思います。Windows環境を残したままLinux環境を構築する方法の一つに、USBメモリLinuxをインストールする方法があります。

使用しているPCのBIOSUSBメモリからのブートに対応していれば、USBメモリにOSをインストールし、USBメモリからOSをブートすることができます。
この方法を利用すれば、同じPCを使用しながらWindows環境に手を加えることなく、Linux環境を構築することが可能になります。

ただし、誤った操作をするとWindows環境が消えてしまうリスクもあります。
インストールには十分に注意が必要です。
※実施する際は自己責任でお願いします。

今回は実際インストールした際に感じたポイントを踏まえて、インストール方法を紹介したいと思います。

2.事前準備

2.1.ISOイメージのダウンロード

Linux Mint 19.3 Triciaのインストール用ISOイメージファイル(linuxmint-19.3-mate-64bit.iso)を、以下のダウンロードサイトよりダウンロードします。

・本家のダウンロード(英語)

https://linuxmint.com/download.php

2.2.USBメモリの準備

今回は「ISOイメージを書き込むUSBメモリ」と「LinuxをインストールするUSBメモリ」の2個を用意します。

容量としては、「ISOイメージを書き込むUSBメモリ」はISOイメージファイル(約2G)が書き込めればよいので4GBもあれば十分です。
LinuxをインストールするUSBメモリ」は、8GB程でインストール可能ですが、本格的な利用には最低でも16GBは欲しいです。

USBメモリを選ぶ際に気をつけなければならないのは、「LinuxをインストールするUSBメモリ」の速度です。
読み書き速度が遅いとインストールに時間がかかったり、起動に時間がかかったりします。
実際に速度の遅いUSBメモリ(USB3.0)にインストールしましたが起動だけで40分程かかり、とても実用に耐えられませんでした。

今回はサンディスクの下記のUSBメモリを使用しました。

2.3.インストール用のUSBメモリを作成

事前にUSBメモリ書き込みソフト等を使用してダウンロードしたISOイメージを「ISOイメージを書き込むUSBメモリ」に書き込み「インストール用LiveUSB」を作成する必要があります。

今回はwindows環境からrufusを使用して書き込みました。

3.インストール手順

3.1.BIOS設定の変更とインストール用LiveUSBからブート

PCの電源を投入し、USBメモリからブートするようにBIOSの設定を変更後、インストール用LiveUSBからPCをブートします。
BIOSの設定方法はPCの機種毎に異なるので、マニュアル等を確認して実施してください。

 

今回使用したPC(NEC LaVie LL750/H)では、下記の方法でインストール用LiveUSBからブートしました。

1.PCの電源を投入後、「F2」キーを押下してBIOS設定画面を表示します。

2.BIOS設定画面で「起動」タブに移動し、「起動順位の設定」で「USB Memory」の起動順を最優先にします。

3.事前準備で作成した「インストール用LiveUSB」をPCのUSBポートに挿します。

4.「F10(Save and Exit)」を押下し、設定変更を保存してPCを再起動します。

5.再起動後、「インストール用LiveUSB」からブートが開始され、Linux Mint(試用版)にログインします。

 

3.2.ネットワーク設定

Linux Mint(試用版)のネットワークの接続設定(今回はWifi環境設定)をします。

1.Linux Mint(試用版)の画面右下にある「扇マーク(未接続)」をクリックし、「Wi-Fi Networks」を表示します。

2.「Wi-Fi Networks」画面で使用するWi-Fiをクリックします。

3.「Authentication required By Wi-Fi network」画面でパスワードを入力し、「Connect」をクリックします。

4.画面右下に「扇マーク(接続)」が表示されれば通信ができます。

 

3.3.画面コピーの取得確認

「PrintScreen」キーで画面全体を、「PrintScreen」+「Alt」キーでアクティブ画面の画面コピーを取得することが可能です。
インストール時の設定を記録するために画面コピーを保存することをお勧めします。

 

3.4.USBメモリのデバイス名の確認

インストールを実行する前に「LinuxをインストールするUSBメモリ」をUSBポートに挿し、デバイス名を確認します。

1.「Ctrl」+「Alt」+「T」キーでターミナルを起動します。

2.下記のコマンドを実行し、現在認識しているデバイスを表示します。

$ sudo fdisk -l

3.「LinuxをインストールするUSBメモリ」をUSBポートに挿し、自動マウントすることを確認します。

4.再度下記のコマンドを実行し、USBメモリがマウントされた前後の違いで追加されたデバイス名(USBメモリのデバイス名)を確認します。

$ sudo fdisk -l

3.5.USBメモリへのインストール

いよいよインストールを開始します。

1.Linux Mint(試用版)の画面から「Install Linux Mint」をダブルクリックします。

 

2.「ようこそ」画面で「日本語」を選択し、「続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502223551j:plain

 

3.「キーボードレイアウト」画面で「日本語」を選択し、「続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502223642j:plain

 

4.「Linux Mintのインストール準備」画面では、特にこだわりがなければ下記をチェックし、「続ける」をクリックします。

・グラフィックス、Wi-Fi機器、Flash、MP3やその他のメディアに必要なサードパーティ製ソフトウェアをインストールする

f:id:takalinux:20200502223729j:plain

※インストールしたUSBメモリを別のPCでも使用することを想定しているのであれば、チェックしない方が良いかもしれません。
ハード固有のソフトウェアがインストールされるため、別のPCで使用する際にエラーが出力する可能性があります。

 

5.USBメモリをアンマウントする旨のメッセージが表示されるので「はい」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502223809j:plain

 

6.【重要】USBメモリにインストールする場合、「インストールの種類(#1)」画面で「それ以外」を選択します。

「ディスクを削除してLinux Mintをインストール」を選択するとPCのハードディスクがフォーマットされてしまいます。つまりWindows環境が消えてしまいます。

f:id:takalinux:20200502223947j:plain

 

7.インストール画面がはみ出した際の注意

以降の画面では、インストール画面がディスプレイからはみ出している可能性が高いです。
そのままでは下部の設定やボタンがクリックができません。
回避策として、「Alt」キーを押しながら画面をドラッグすると移動します。
画面を適宜移動しながら設定しましょう。

 

8.【重要】USBメモリにインストールする場合、「インストールの種類(#2)」画面で、Linuxをインストールする領域とブートローダをインストールする領域を選択します。

ここで誤った領域を選択すると、ハードディスクがフォーマットされたり、ハードディスクのブートローダが上書きされたりしてしまいます。

注意が必要な部部なので、詳細な手順を説明します。

ⅰ)「3.5.USBメモリのデバイス名を確認する」で事前に確認したデバイス名(例./dev/sdc)がUSBメモリになります。また、デバイス名+数字(例./dev/sdc1)がパーティションになります

よって、Linuxをインストール先としてUSBメモリパーティション(例./dev/sdc1)を選択し、「変更」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502224525j:plain

 

ⅱ)「パーティションを編集」画面で下記を設定し、「OK」をクリックします。

  ・利用方法:ext4ジャーナリングファイルシステム
  ・パーティションの初期化:チェックする
  ・マウントポイント:/

f:id:takalinux:20200502224555j:plain 

※今回はUSBメモリにインストールする都合上、SWAP領域を設定していません(設定しても問題ありません)。USBメモリは書き込み回数に制限があるためです。

 

ⅲ)ディスクへの変更を書き込む旨のメッセージが表示されるので「続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502224621j:plain

 

ⅳ)「ブートローダをインストールするデバイス」にUSBメモリのデバイス名(例./dev/sdc)を選択し、「Linuxをインストール先のプロパティ」と「ブートローダのインストール先のデバイス」が正しく設定されてることを確認した後、「インストール」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502224525j:plain

 

9.「どこに住んでいますか?」画面で「Tokyo」を選択し、「続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502224643j:plain

 

10.「あなたの情報を入力してください」画面で適切な設定をし「続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502224855j:plain

 

11.インストールが開始されるので終了を待ちます。

f:id:takalinux:20200502224943j:plain

 

12.「インストールが完了しました」画面が表示されるので「試用を続ける」をクリックします。

f:id:takalinux:20200502225017j:plain

 

13.保存したい画面コピーなどがあればUSBメモリなどに退避します。

 

14.「Menu」からシャットダウンします。

 

以上でインストールは完了です。

 

4.初回起動と初期設定について

LinuxをインストールするUSBメモリ」のみをPCに挿し、電源ONをすればインストールしたLinux Mint 19.3が起動します。起動後は初期設定を実施する必要があります。

 

初期設定については、次回紹介します。

 

では、今回はこれまで。